CARBON JUNCTION vol.19
いくら振り返っても自分と「環境」とのつながりはほとんど思い浮かばない。ただ、父に連れられて週末に六甲山へ登った記憶は鮮明だ。山頂から見下ろす神戸の海、そして時折現れるイノシシ。自然は身近にあったが、それを特別に意識することはなかった。
大学では経済学を専攻した。人間の経済合理性に基づく活動が生む社会課題を、仕組みの力で解決しようとする経済学の試みに心を惹かれた。ゼミは「国際金融」。名前がかっこいいという単純な理由で選んだが、2008年の金融危機を目の当たりにし、世界の構造を肌で感じた。恩師が語った「証券化商品も課題解決のために生まれたソリューション」という言葉は、今も胸に残っている。
卒業後2012年に、HSBCグループの資産運用会社に入社。国内機関投資家向けに債券や株式、マルチアセット戦略を提案する日々だった。立ち上げ期の部署で、営業の基本から学び、年齢にとらわれない動き方を意識するようになった。
2020年、マニュライフ・インベストメント・マネジメントへ転職。扱う商品は大きく変わり、インフラ、不動産、プライベート・デット、そして「森林・農地」という自然資本投資に出会った。海外の森林・農地に投資し、効率的な運営を通じてリターンを生む。そのスケールに魅了された。当社は森林や農地の管理まで自社で担う一気通貫の体制を敷いている。米フロリダ州の森林を現地のフォレスターと歩いたとき、彼の森林管理への情熱に心を打たれた。こうした現場の熱意を投資家にもっと伝えたいと強く思った。
地球温暖化という課題に経済的な動機付けで挑む――大学時代の感動がよみがえった
転機は2021年。森林投資チームから、林業収益ではなくカーボンクレジット創出を目的とした新しい投資アイデアを聞いた。森林の炭素吸収力をクレジット化し、投資家にリターンとして現物(カーボンクレジット)で還元する仕組みだ。地球温暖化という課題に経済的な動機付けで挑む――大学時代の感動がよみがえった。第一子を授かったタイミングでもあり、未来の地球が子どもにとって住みやすい場所であってほしいという願いが、仕事への情熱をさらに強くした。
それまでの一般的な投資商品の営業とは全く異なり、関わる相手も部署も大きく変わった。カーボン市場も門外漢であったため、書籍や多くの先達に学びながら、金融機関や事業法人への提案を重ねていった。当社の40年の森林投資実績を信頼いただき、国内14社から300億円以上の出資を得ることができた。気づけば、グローバルの投資家の出資額の半分を日本企業が占めるまでになった。
森林クレジットには厳しい視線もある。しかし、現場で誠実に管理を続ける仲間を知る私には、説明を尽くす責任がある。自然資本投資の価値は炭素吸収だけでなく、生物多様性など広がりを見せている。まだ道半ばだが、可能性は大きい。
これからも、一つでも多くの日本企業に脱炭素のソリューションを届けたい。微力ながら、未来の地球をより良い場所にするために挑戦を続けていきたい。

“Manulife Forest Climate Fundが投資する米ミシガン州の森林にて、ご投資家様12社の皆様と現地森林管理チームとの記念撮影。前列右から2番目が筆者。”
マニュライフ・インベストメント・マネジメントの取り組み
マニュライフ・インベストメント・マネジメントは、森林投資で世界最大の機関投資家向け運用マネージャー*です。1985年の投資開始以来、サステナビリティと責任投資を一貫して重視してきました。長年培ってきたプライベートアセットに関する専門知識を活かし、市場の非効率性、分散効果、魅力的なリスク調整後リターンを追求するお客さまに幅広い戦略を提供しています。(*IPEリサーチ、2025年1月4日時点)
プレスリリース:
4億8,000万米ドルのマニュライフ・フォレスト・クライメート・ファンドのクローズについて
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