CARBON JUNCTION vol.17
「動物たちを守りたい」から森林生態系保全へ
幼少期からあらゆる動物が大好きで、人間による経済活動の発展によりさまざまな動物種が絶滅していくことに強い危機感を持っていた。「動物たちと人間社会が共生できる社会の在り方はないか」という問いを胸に進路を模索していた中、オープンキャンパスで訪問した大学で生物多様性、生態系保全の研究室紹介を見て勉強を進めるうちに、特定の生物ではなく、生態系全体を保全することの重要性を理解し、生態系システムの学問に進んだ。1990年代後半当時、森林経営も林業から水源涵養や生態系保護などの側面が重要視される傾向にある中で学部名称も変更されていたが、学問の内容は林学中心であり、そのまま大学院まで林学コースに進んだ。私の研究テーマは「森林と人間社会の関係学の歴史的変遷における日本とドイツの比較」という内容で、研究の一環で演習林に通っては、全林毎木調査やネズミの生態系調査、CO2フラックス調査などの調査に携わった。
木造住宅のCO2固定効果を考える
木材住宅メーカーに入社後は、環境担当として会社の環境対策全体を担当するとともに、環境報告書の発行を手掛けた。自社の環境に関する取り組みや木造建築の環境面におけるメリットを従業員やお客様にわかりやすく伝えたいと考え、木造住宅におけるCO2固定効果や高気密・高断熱住宅の省エネ効果などを算出し積極的に開示した。当時はまだ、CFPなどの概念はなく、あくまで木材のCO2固定効果のみの算出であったが、初めて仕事でCO2算定・開示に関わったタイミングであった。
仕事を通じて地球環境課題に関わり続けたい
その後、より直接的に地球温暖化対策に関わる仕事に携わりたいと考え、複数のコンサルティングファームで、脱炭素領域の仕事に従事した。2000年代前半では、なかなか企業から脱炭素取組支援というような引き合いはなく、もっぱら官公庁などをクライアントとし、京都議定書のCDM(クリーン開発メカニズム)関連業務として途上国におけるCDM案件発掘、ビジネスマッチングなどに携わった。また、IPCCのレポートの分析、CCS(Carbon Capture &Sequestration)に係る国際的なルールの動向、プロジェクト動向調査など、CO2に関する多様な業務を経験する中で、「CO2 1トン」という単位が国や業種を超えて共通の「通貨」や「言語」のような役割を果たしていることを非常に興味深く感じていた。
それから約20年が経過し、CO2が全世界における共通言語として、喫緊の課題として語られるようになっていることには大きな変化を感じるとともに、年々深刻化する地球温暖化問題に焦りを感じている。
ますます複雑化するサステナビリティ課題に対して、より実践的かつ実効的にアプローチするため、2025年7月、PwCコンサルティング合同会社ではサステナビリティの専門組織として、ビジネスマネジメントトランスフォーメーション事業部サステナビリティトランスフォーメーション部門(BMX-SX)を立ち上げた。今後ますます重要となる地球環境課題に対して、GX関連に留まらず、環境、社会、経済の全てを総合的に捉え、それを踏まえて全体最適を図るホリスティックアプローチにより、社会のSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の加速に貢献していきたい。

“サステナビリティに係るキャリアの起点となった大学演習林にて”
PwCコンサルティング合同会社の取り組み
PwCコンサルティング合同会社では、2025年7月にサステナビリティの専門性と多様なスキル、総合力を組み合わせ、サステナビリティ、ESG、環境課題、社会課題領域における戦略・計画策定、情報開示や企業のSXを一貫して推進することを目的にBMX-SXを設立しました。さまざまなクライアントが、長期的かつサステナブルな成長を実現するための支援を幅広く提供しており、企業の真のSXをクライアントの多様な部門と連携してリードし、実行から成果創出までを一貫してご支援しています。